jw_cadで高速作図するための設定例をUPしました。_鳥屋野さんリクエスト

社内でCAD通だった社員が退職し若手社員に操作スキルUPを手助けしてやることができなくなった。社員はjw_cadは学生時代から使っているようだが、皆、独自学習での習得のようで作図時間がかかる。また、データーを引き継ぎ共有できない。社内教育にもノウハウを保存し使いたいが、何か「手引き」がないかとの相談をいただいたので、私屋版(shinya.mugino)として練習用を提示しましたものをご紹介します。

JWW高速作図のための設定

作図作業のストレスをなくし、高速で使用するための設定をまとめたものです。一つ一つ使ってみて設定を自分用にカスタマイズしましょう

練習前には設定ダイアログの各タブの内容をスクショ記録、環境ファイル○○.jwf ,□□.jwlをバックアップしてから行ってください。

「ここまではやろうよ!」の目標項目です。

1.施工図サイズ決定と作図データー共用のための設定

-1)図面スケールの設定

一般的に設計図・一般図は設計(計画)主旨が伝わる程度の図面でスケールは1/200~1/50程度です。

施工図では少々拡大し収まりの指示に耐えられるもので1/50~1/10程度です。

工作図では1/30~1/1となります。

施工図を書く目的により、次工程で工作図などが起こされる場合は工事前工程からの引継ぎ、後からの検査が容易なトレーサビリティーが効く図面表記が必要です。

ファブ等では工作図を描くにあたり、施工図がなければ独自判断で工作図を作成します。加工制作後に計画主旨の違いから作り直しとならないために着手前承認を求めてきます。

元請の監理は、施工図指示は全てを描き指示する手法から変わり(私の周りの中小企業様で)、ファブの施工図チェックと部分的収まり詳細等の描画指示で次工程や他業種との取り合いを確認できるような内容にします。

もちろん、改修・改装工事などでは現調後に工事範囲全てを描くことになります。そこで、同じ図面ファイルデータに縮尺の違う図面や施工図チェックのコメントを入れたりして指示するのが一般的です。

-2)レイヤグループとレイヤの使い分け運用ルール決め

JWWの機能からグループで図面全体を描画し、レイヤでパーツ管理(線、図形、文字、ハッチ等)する。

  • レイヤグループでは各々スケール設定が可能であるから一般図と拡大詳細図等のスケールの違う図を別グループに描き同じ図枠に入れられる。

  →図枠、一般図、詳細図、コメント用、積算集計用等のグループに分ける

  • レイヤでは各レイヤに線色、線種、文字等を定めて配置できる

  図の要素別(柱、梁等)に線(レイヤ)を決めて描くことで編集・供用が簡便になる

  →レイヤの環境ファイル(.jwl)読込で作図後でも強制的に移動・まとめが可能

  →Pen番号とレイヤ番号を同じにして設定すると思考が楽

  →Pen番号で線の太さ設定ができるため細線中線太線をルール付けし線選択できる

   (環境設定ファイル.jwfで)

        例:       0:基準線 通り芯、材芯等

       1・2:細線_引出線、ハッチ線等

       3~8:中線_見え掛かり線等

       太線はその都度ダイアログで太さを指示する 

      (S_CMN_2 の②を-100にしPCOLLOR_1から8の④の線幅を1/Nmm単位で記述)

  • レイヤを移動すると指定の線色、線種等に移行する設定がある

  →環境設定ファイル(.jwf)で指定 Pen番号とレイヤ番号を同じにして設定すると思考が楽

  • 使用するコマンドごとにレイヤを指定できる

  →環境設定ファイル(.jwf)で指定 ハッチ、ソリッド等

2.AUTOモードとクロックメニューを利用し両手で操作

左手(右手)でマウス、右手(左手)で数字キー、スペース・キーコマンド等を入力する習慣をつける

-1)AUTOモードで8つのコマンド操作

クロックメニューのAM9時でオートモードに入る

線、円(円弧)、矩型、複線、消去、線部分消去、コーナー処理、線伸縮の8つを利用する

図面修正程度はAUTOモードでやってしまおう

-2)クロックメニューを使う

中心点、鉛直点指示、水平垂直切り替え、Pen色・種切り替え、属性取得、軸角取得、範囲選択、移動、コピー、貼付け等も一発選択する

  • 大事なことはコマンドボタンツールを表示しないこと、慣れるまでやりきる(クロックを使う)こと
  • 標準のクロックメニュー位置のコマンドによく使うコマンドを使いそうもないコマンドと差し替える
  • コマンド実行中のドラック操作(コマンド特有クロック共)を使う
  • 線端指定 矢付、点付をドラック指示する
  • 寸法値指定 終点指示位置までの寸法線(寸法属性)描画指示
  • 線種、線色を指定

   クロックメニュー切り替え距離値に(基本設定/一般2タブ)

   -(マイナス)設定でLドラッグで線色指示、R(右)ドラックで線種指示

  • 複線時の端点位置指定

   複線間隔を指示したのちにL(左)/R(右)のAM3時ドラッグ

  • 伸縮で一括指定

   伸縮コマンド選択時スペースキーで指定

  • 範囲選択時に各種指示

   L.AM5時ドラッグで追加範囲指定、L.AM6時で除外範囲指定

   R.AM0時ドラッグで基点変更<Read>指示

   L.PMドラッグで書込みの線種、線色、レイヤ、グループ、文字等の選択指示

   R.PMドラッグで書込みの線種、線色、レイヤ、グループ、文字等の変更指示

  • 消去、コピー等の範囲選択後、一括伸縮、ソリッドの確定実行

   AM0時ドラックで確定実行

3.環境設定

-1)設定メニュー|基本設定|ダイアログボックスで設定

1)一般1タブ

  • 消去部分の再表示に設定:重なった線の下の線を再表示する
  • 逆順描画に設定:重なった線上で後の作図線が表面に描画される→作図思考が途切れない
  • 逆順サーチに設定:重なった線上で表面の線が先にサーチ(認識)される→同上
  • 画像・ソリッドを最初に描画に設定:ソリッドの上に寸法、文字等が乗り可視化する。

2)一般2タブ

  • 標準クロックメニューをAUTOモードクロックメニューにするに設定

   環境設定ファイルの[AC_COM]の①を1に設定するとタブに項目が出現する

  • プリンター出力時の埋め込み文字を画面に変換出力するに設定
  • AUTOモードのクロックメニューの切り替え距離を設定する

   マウスの動きを少なくする設定と-値で各種ドラック指示が可能

3)AUTOタブ

  • クロック⑴の右PMに取得系コマンド(標準クロックと同じ)を仕込む
  • コピー、データ整理、ハッチコマンドをクロックメニューで使用する設定を仕込む

       環境設定ファイルの[SL_SET]の③を111等に設定する

  • 図形サーチ倍率を設定:目的外の図形を拾わないように一般精度より鋭くする0.5~1.0

  拡大表示し、0.5で約半分の距離まで近づけてから目的をRCL(クリック)することになる。

  • 色画面タブ

  画面要素、プリンター出力要素で線色・線幅設定

  細線、中線、太線で識別しやすいように設定

       例:Pen1,2_細線2本、Pen3~8_中線6本とし太線は個別に太さ設定

    2本ずつ色系統を定め濃淡で識別

           実点を指定半径㎜でプリンター出力、線幅を1/100㎜単位で使用

  • 文字タブ

  フォントにプロポーショナルフォント[P付]を使う場合間隔に0.01を指定

  半角文字の重なりを回避するため 例:MSPゴシック

-2)環境設定ファイル(jw_win.jwf)を設定する

設定にはJWW設置フォルダーのSample.jwfの説明文を参照すること

Sample.jwfをコピーしjw_win.jwfにリネームして使用する

一般設定の前のENDを削除し後述の部分を修正して使ってください。何度も練習すること。

  • レイヤグループのスケールを設定する

  図枠、指示・連絡コメント等縮尺の決まっているものはグループで指定し縮尺を設定する

  LAYSCALE = に記述               #関連1-1.記事

  • レイヤ名を設定

  グループ下のレイヤは線編集を容易にするためPen名でレイヤに名をつける #関連1-2.記事

  LAYNAM_N = 0 #0で既存レイヤ名を遺す

  例:

                       #↓レイヤ0~FまでPen番号を設定した場合
   LAYNAM_0= 記述なし,芯Pc1,Pc1,Pc2,Pc3,Pc4,Pc5,Pc6,Pc7,Pc8,Pc9,指無,#・・・
#グループ番号↑ ↑グループ名(無名になる)
  • レイヤ選択と同時に線色を切り替える

  図面編集・整理のため指定レイヤに指定線色を描画        #関連1-2.記事

例:

#             ↓レイヤ0でPen1を設定した場合
     LAYCOL_1= 1  1  2  3  4  5  6  7  8  0  0  0  0  0  0  0
#グループ番号↑	   ↑レイヤ2でPen2を設定した場合 0は切替しない
  • レイヤ選択と同時に線種を切り替える

  指定レイヤに指定線種を描画    #関連1-2.記事

例:

#	       ↓レイヤ0でPen6(一点鎖線)を設定した場合
     LAYTYP_1= 6  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1  1
#グループ番号↑	  ↑レイヤ2でPen1(実線)を設定した場合 0は切替しない
#	レイヤ0に通り芯を描画すると設定した 他は実線描画とした場合
  • レイヤ選択と同時に線幅を切り替える
	  #↓-1で線色(PCOLLOR_1)で設定した線幅に切り替わる
LAYWID_1 = -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1
          #「線幅を1/100mm単位とする」の設定の場合に有効
  • コマンド選択と同時にレイヤを切り替える

例:ソリッド図形をFレイヤに描く

#          式計算,属性変更,ソリッド図形
#          (41)  (42)     (43)    
COM_LAY41=  00    00      0F   
#			 ↑各グループ共Fレイヤに切り替え  0は切り替えない
#	(10の位がグループ  1の位がレイヤ)
  • AUTOモードクロックメニューで[レイヤの表示のみ化]する設定

作業外レイヤを選択しないときなどに有効(AM6時ドラックし左右振ると実行)

#                                           ↓⑦番目
S_COMM_4 =    2    1    0    1    1    0    13    0    10
												#                                           ↑3で表示のみレイヤ化
#                                          ↑10でAM6時属性取得時は切り替えない
  • 標準クロックメニューをAUTOモードクロックメニューにする
#         ↓2で設定ダイアログの一般2タグに切り替えチェックボックスを表示する
AC_COM =   2     240    240    240     80     80    80     0

  ダイアログでチェックし使用する(推奨)

  • クロックメニューに戻る・進むを表示する
#					 ⑧番目0で使用する↓
AC_COM =   2     240    240    240     80     80    80     0

-3)環境設定ファイル(○○.jwl)を設定する

線のレイヤ分け描画できなかった線を図面編集・整理のため強制的に指定レイヤに移動する

        例:0グループの1レイヤにPen1色の線・点を移動

#      ↓0グループを指示
GLAY = 0 
#          (a)線色  (b)線種  (c)点色  (d)文種  (e)他属性
LAY_1   =    1    	0    	1		0		 0
#  ↑1レイヤに ↑線色         ↑点色1		0は移動しない

  このように各グループ、レイヤ毎に記述する

以上 「ここまでやろう!」の設定です。